伝わる報告と会議のつくり方
「一方的」と言われたら、欠けているのは建設的
オーディットコア・ハブのアキラです。この記事では、監査の最終報告書に「表現が一方的だ」と反発された場面を入口にします。
報告が備えるべき品質特性のうち、何が欠けているのかを読み解いていきますね。事実は合っているのに受け手が動いてくれない、あの場面です。
「一方的だ」という反発が指しているのは、事実の誤りでも情報の欠落でもなく、受け手が前を向けるように伝えるという建設的の欠如です。
この一文が、今回の暗記対象なんです。ひとことで言えば、相手の不満の言葉を、基準の言葉へ翻訳する作業ですね。
事実を直しても、短くしても、情報を足しても反発が残るとします。そのとき足りないのは、正確性でも簡潔性でも完全性でもありません。
受け手が前を向いて動ける形になっているかどうか、そこを見てみましょう。
この記事で分かること
- グローバル内部監査基準(GIAS: Global Internal Audit Standards)は、ドメインVの基準15.1に、監査に関する伝達の品質特性を七つ置いています。
そのうち建設的(Constructive)が何を指しているか - 「一方的」という不満が、正確性・簡潔性・完全性ではなく建設性の欠如を突いていると、なぜ言えるのか
- 特性の識別型・定義・目的型・半分正しい複合記述型という、三つの問われ方があります。そこで正しそうに見える記述を落としていくときの、比較の軸
伝わる報告と会議のつくり方(P1-B-04-a)
よくある誤解
今回の入口は、こんな場面です。監査の最終報告書を受け取った対象部門長、つまり監査を受けた側の部署のトップが反発しました。
「表現が一方的で、私たちの改善努力がまったく評価されていない」というわけですね。
この不満は、報告が備えるべき品質特性のうち、どれが欠けていると言っているのでしょうか。品質特性とは、要するに、良い報告が持っているべき性質のことです。
まず、その答えとして単独で出されたら誤りになる記述を、先に並べておきますね。
- 事実の認定に誤りがある(正確性が足りない)
- 記述が冗長で、読むのに時間がかかる(簡潔性が足りない)
- 判断に要る情報が抜け落ちている(完全性が足りない)
どれも監査に関する伝達の質を語るうえで大事な観点ですよね。ところが、「一方的」という言葉が指している欠落は、この三つのどれでもありません。
しかも三つとも、基準が掲げる品質特性の名前をきちんと借りています。名前が正しいぶん、まぎらわしい並びなんです。
見分ける手がかりは、反発が消えるかどうかです。試しに、この三つのどれかを直した場面を想像してみてください。
事実を直しても、短くしても、情報を足しても、対象部門長の反発はそのまま残りますよね。
ここは、どこで差がつくのでしょうか。三つを外せるかどうかは、報告書を書いた経験の量では決まりません。
決め手は、相手の不満の言葉を基準の言葉へ翻訳できるかどうか、その一点なんです。
翻訳ができないと、経験がある人ほど「自分の報告のどこが弱かったか」を思い出してしまいます。
すると、場面を説明した問題文ではなく、記憶で答えを選ぶことになります。
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