外部評価の実施間隔
5年に1回は周期ではなく守るべき下限
オーディットコア・ハブのアキラです。この記事では、内部監査部門の品質の外部評価を、何年に1回受けるのかという一点にしぼって整理します。
内部監査部門というのは、つまり、組織の中で仕事のやり方を点検する部署のことですね。間隔の数字と、「少なくとも」という限定語の向き。
この二つを、一緒に確かめていきましょう。
「少なくとも5年に1回」は、5年より長く空けてはならないという下限であって、毎年という周期の指定でも、何かが起きたときにだけ動く条件付きの義務でもありません。
この一文が、今回の暗記対象なんです。ひとことで言えば、5年という数字は守るべき最低ラインであって、決められた開催周期ではない、ということなんですね。
この記事で分かること
- 外部評価の間隔が「少なくとも5年に1回」であることと、「少なくとも」という限定語が下限と上限のどちらを指すか(=向き)
- 5年ごとより頻繁な外部評価が検討される場面と、それが要求事項とは層の違う話であること
- 数値の識別型・条件のすり替え型・限定語の向き型という3つの出題型と、その切り方
外部評価は何年に1回受けるのか(P3-C-04-a)
よくある誤解
まず、外部評価の間隔として、単独で提示されたら誤りになる記述を並べます。
ここでいう「単独で提示されたら」は、ほかの条件が何も付いていない状態のことです。その記述だけで正しいか誤りかを決めさせる形、ということなんですね。
- 少なくとも年に1回
- 少なくとも3年に1回
- 大きな組織変更があったときにだけ実施する
3つとも、品質に真面目に向き合う姿勢としては、むしろ好ましく見えませんか。ところが、外部評価の間隔を問われた場面では、どれも誤りなんです。
年に1回という数字は、別の事項に定められた頻度です。外部評価の間隔ではありません。
3年という間隔は、基準のどこにも出てきません。そして、組織に大きな変化があったときだけ実施すればよい、という例外の定めもないんです。
解説
「点検というのは毎年やるものだ」。そう感じている方は、多いのではないでしょうか。
たとえば、部活で備品の数を毎年数え直すような感覚です。内部監査部門の品質は、まず部門の内側で点検されます。
毎年やるものだという感覚のまま、外部評価の話へ入るとどうなるでしょうか。外からの評価も、年に一度の行事として覚えたくなります。
ところが、基準が外部評価について定めているのは違うんです。年ごとの行事ではなく、間隔の下限なんですね。
グローバル内部監査基準(以下、GIAS)の基準8.4を見てみましょう。この基準8.4は、品質の外部評価について、二つのことを同時に決めています。
ひとつは、誰が行うか。適格であること、そして組織から独立していること。
適格というのは、ひとことで言えば、評価をするのにふさわしい能力があるということです。この二つを満たす評価者、または評価チームが担います。
もうひとつが、どのくらいの間隔で行うか。少なくとも5年に1回です。
基準の番号は出典の目印ですから、まずは中身のほうを覚えてください。
ここで、「少なくとも」という限定語の向きを確かめておきましょう。限定語というのは、つまり、条件の範囲を決める言葉のことです。
「少なくとも5年に1回」は、5年より長く間隔を空けてはならない、という意味ですね。つまり、下限の言い方です。
毎年受けなさいという周期の指定ではありません。5年より短くしてはいけない、という上限でもありません。
たとえば、前回の外部評価から7年が過ぎている部門を考えてみましょう。間隔が5年を超えてしまっているので、基準に適合していないことになります。
逆に、5年を待たずに行ってもかまいません。
むしろ基準は、5年ごとよりも頻繁な外部評価という考え方まで示しています。そのほうが適切だと、取締役会と内部監査部門長が判断してよいんです。
取締役会は会社の経営を決める会議、内部監査部門長は点検をする部署の責任者ですね。
では、もっと頻繁な見直しを検討する理由として、どんな場面が挙がっているのでしょうか。監査部門どうしが統合されたり、要員が大きく入れ替わったりしたとき。
内部監査の手法を大きく変えたとき。最高経営者、つまり組織のトップや、内部監査部門長といった上層部が交代したとき。
さらに、規制の強い業界に属する組織などもあります。そうした組織では、外部評価の頻度や範囲を増やすよう望まれることがあります。
要求されることもあるんです。
つまり、5年という数字は「守るべき最低ライン」なんですね。「決められた開催周期」ではありません。
この下限と周期を取り違えると、どうなるでしょうか。頻度を増やす判断の話と、基準が定める間隔の話。
この二つが、頭のなかで一つに混ざってしまいます。
「少なくとも5年に1回」は、5年より長く空けてはならないという下限であって、毎年という周期の指定でも、何かが起きたときにだけ動く条件付きの義務でもありません。
位置づけも確かめておきましょう。この5年という間隔は、GIASの基準8.4に置かれています。
品質の外部評価を扱う基準ですね。その基準8.4は、三つの層でできているんです。
ひとつ目の層が、守らなければならない要求事項。二つ目の層が、実施にあたって考慮すべき事項。
三つ目の層が、適合していることを示す証拠の例です。基準8.4には、この三つに加えて、取締役会と最高経営者が果たす必須条件も並びます。
5年に1回という数字は、いちばん硬い層に書かれています。つまり、要求事項の層ですね。
考慮すべき事項の層には「5年ごとより頻繁にしてもよい」という話がありました。この二つは、層が違うんです。
試験で問われるのは、二つの組み合わせです。5年という数字と、「少なくとも」という限定語ですね。
数字だけを覚えていると、どうなるでしょうか。「少なくとも」が「ちょうど」や「〜以内」にすり替えられた記述を、見逃します。
逆に、限定語だけを気にしていると別の穴が空きます。5年という数字そのものが3年や7年へ入れ替えられたときに、反応できません。
数字と限定語は、セットで持っておきましょう。
この論点はこう問われる
出題型を3つ、順に見ていきます。数値そのものを問う型。
実施の義務に条件を付ける型。そして、限定語の向きを試す型の3つです。
数値の識別型。 「品質の外部評価は、どのくらいの間隔で実施することが求められるか」。
間隔そのものを問う、こんな形が想定されます。並ぶのは、1年、3年、5年、7年といった数字です。
並んだ記述に目を落とす前に、「少なくとも5年に1回」を自分の中で再生してから照合します。
先に思い出しておくだけで、もっともらしい中間の数字に引かれにくくなるんです。3年という間隔は、5年では空きすぎるという感覚に乗ってきます。
そのぶん、選びたくなりますよね。ただ、基準に存在しない数字です。
まずは数字だけを取り出して、確かめてみてください。
- 例1: 「品質の外部評価は、どのくらいの間隔で実施することが求められるか」と問われたら、先に唱えた5年と、並んだ数字だけを突き合わせてみてください。
- 例2: 「少なくとも3年に1回実施しなければならない」と書かれたものは、5年では空きすぎるという感覚に乗ってきますが、基準にない数字ですから消しましょう。
- 例3: 「品質の外部評価は、少なくとも年に1回受ける必要があります」という一文、真面目に見えますよね。
年に1回は別の事項の頻度で、外部評価の間隔ではないんです。 - 例4: 「前回の外部評価から7年が過ぎています」という記述が出てきたら、下限の5年を越えていますよね。適合していない側だと判断できますよ。
条件のすり替え型。 「大きな組織変更があったときにだけ実施する」。
こんな記述が並ぶ形が想定されます。定期的に行う義務へ、条件を付けた言い方ですね。
変化があったときに見直すという実務の感覚に沿っています。そのぶん、読んでいて引っかかりにくいんです。
定期的な実施の義務に「〜の場合にのみ」という条件が付いていたら、その条件が基準にあるかどうかを確かめます。
外部評価は、大きな組織変更のような出来事があってもなくても、定期の実施が求められます。条件が付いていたら、そこで一度、手を止めましょう。
- 例1: 「品質の外部評価は、大きな組織変更があったときにだけ実施します」という記述、実務の感覚に沿っていて引っかかりにくいんです。
条件が付いた時点で手を止めましょう。 - 例2: 「最高経営者や内部監査部門長が交代したときにだけ実施します」という記述はどうでしょう。
頻度を増やす判断の話を、定期の実施の義務にすり替えているんですね。 - 例3: 「規制の強い業界に属する場合に限って、外部評価が求められます」と書かれたものを見たら、その条件が基準にあるかどうかを確かめてみてください。
- 例4: 「重大な出来事が起きた年度だけ外部評価を行えばよいことになります」という一文も、定期の義務を条件付きに変えています。
出来事の有無にかかわらず定期の実施ですよ。
限定語の向き型。 「少なくとも」「最低でも」といった限定語の扱いを試す形と相性がよい論点です。
限定語は機械的に消さず、下限を示しているのか上限を示しているのかを確かめます。 「少なくとも5年に1回」は下限ですね。
ですから、4年ごとに外部評価を受けている部門は、基準に反していません。「少なくとも」を上限と読んでしまうと、どうなるでしょうか。
頻繁に受けている部門のほうを、誤って不適合と判定してしまいます。上限か下限か。
口に出して確かめてみてください。
- 例1: 「品質の外部評価は、ちょうど5年ごとに実施する必要があります」という記述はどうでしょう。
数字は合っていますが、限定語が「ちょうど」に変わっているんです。 - 例2: 「4年ごとに外部評価を受けている部門は、基準に反しています」と書かれたものは、下限を上限と読み違えた形ですよ。ここは誤りだと判断できます。
- 例3: 「外部評価は少なくとも5年に1回実施することが求められます」という一文の「少なくとも」は、下限を指しているのか上限なのか。
口に出して確かめてみましょう。 - 例4: 「外部評価を毎年受けている部門は、基準に適合していないことになります」という記述も、上限と取り違えた形ですね。
頻繁に受けている側を誤って外してしまいます。
試験テクニック
読む前に数字を再生する、という手順で臨みます。 工程は三つです。
1つ目の工程。並んだ記述へ目を落とす前に、「少なくとも5年に1回」と頭の中で唱えます。
2つ目の工程では、各記述から数字と限定語だけを拾いましょう。そして、唱えた一文と突き合わせます。
3つ目の工程です。数字が合っていても、限定語がすり替わっていないかを、もう一度だけ確認します。
数字は、限定語とセットで覚えてください。片方だけだと、半分だけ正しい記述に引っかかります。
先に唱えてから読む。この順番を、覚えておいてください。
- 例1: 「品質の外部評価は、どのくらいの間隔で実施することが求められるか」と問われたら、読み始める前に唱える1つ目の工程から入りましょう。
- 例2: 「外部評価は3年に1回実施することが求められます」という記述は、数字を拾う2つ目の工程で、唱えた一文と合わないと分かりますね。
- 例3: 「外部評価は、ちょうど5年ごとに実施する必要があります」と書かれたものはどうでしょう。
数字は合っていても、限定語を見る3つ目の工程で外れるんです。 - 例4: 「外部評価は、少なくとも5年に1回実施することが求められます」という一文なら、数字も限定語もそろっていますよ。
3つ目の工程まで確かめて残してください。
もうひとつ、強い言い方を反射で消さないことです。 「少なくとも」「〜しなければならない」といった言い切りは、誤りの合図に見えます。
ところが基準の要求事項は、そもそも強い言い方で書かれているんです。強い言葉を見たら、すぐ消してはいけません。
その記述が要求事項の中身と合っているかを、先に確かめましょう。
覚え方
新しく着任した部門長から、こう尋ねられた場面を思い浮かべてみてください。「前回の外部評価はいつでしたか」。
答えが「6年前です」なら、その時点で対応が要ります。毎年やっていないことが問題なのではありません。
5年という下限を越えてしまったことが、問題なんですね。
教訓を一言で。外部評価の間隔は、毎年でも随時でもなく、少なくとも5年に1回。
この記事の1枚まとめ
| 論点 | よくある誤解 | 正しい判断の軸 | キーワード |
|---|---|---|---|
| 外部評価の実施間隔(P3-C-04-a) | 品質の外部評価も毎年受ける/3年に1回だ/大きな組織変更のときだけでよい | 少なくとも5年に1回。「少なくとも」は、これより長く空けてはならないという下限 | 基準8.4/適格で独立した評価者または評価チーム/下限としての「少なくとも」/5年ごとより頻繁でもよい |
全文が読める見本: 3ラインモデル、戻せるのは「いつの時点」か、それとも「どれだけ早く」か