不正のトライアングル
三つがそろって初めて成り立ちます
オーディットコア・ハブのアキラです。この記事では、不正のトライアングルの三つの頂点と、それを導いた研究者との対応づけまでを一緒に押さえていきますよ。
三語の暗記で済ませたくなる論点ですが、そこから一歩踏み込んでみましょう。
不正のトライアングルは、打ち明けられない金銭上の窮地と、認識された機会と、正当化の三つがそろって初めて成り立ちます。
この一文が、今回の暗記対象なんです。ひとことで言えば、一つの頂点だけでは三角形は閉じない、ということなんですね。
この記事で分かること
- 三要素を横領犯の実証研究から導いたのはドナルド・R・クレッシーであること
- 打ち明けられないというのが本人の主観であること、機会の成立に欠かせない二本柱と、後押し役にすぎない統制の弱さ
- 代表的な出題型は定義・目的型、範囲の広狭型、条件のすり替え型
不正のトライアングル(CFE-S3-D01-06)
よくある誤解
一文だけを単独で示されたら誤りになる記述を、先に並べておきます。
- 三つの頂点の名前さえ言えれば、この理論は押さえたことになる
- 三つの頂点のうち、一つがあれば不正は成り立つ
- 機会が成り立つには、内部統制が手薄であることが欠かせない
- 打ち明けられない金銭の窮地とは、賭け事でこしらえた負債のことである
誤解の一つ目は、理論の名前と提唱者の対応づけが抜けたものです。誤解の二つ目は、三つがそろって成り立つという構造を崩したものなんです。
誤解の三つ目は、後押しする条件と、欠かせない要素との取り違えですね。誤解の四つ目は、具体例の一つを定義そのものと見てしまった、範囲の誤りです。
解説
不正のトライアングルは、三語の暗記で済ませたくなる論点ですよね。ところが出題は、理論と提唱者の対応から入ることがあります。
横領犯を対象とした実証研究、つまり実際の事例を調べた研究から三要素を導いたのは、ドナルド・R・クレッシーです。
横領とは、預かったお金や物を自分のものにすることですね。組織体犯罪の研究で知られる犯罪学者は、分野は同じでも研究対象が違うんです。
近代の哲学者に至っては、分野そのものが違いますよ。
三つの頂点を順に見ていきましょう。第一の頂点が、他人に打ち明けられない金銭的問題の認識、つまりプレッシャーです。
第二の頂点が、認識された機会。第三の頂点が、正当化なんです。
大事なのは、打ち明けられないというのが本人の主観、つまり本人がどう感じるかだという点ですね。
たとえば同じ競馬の負けでも、人に言える人と、絶対に隠したい人がいるのではないでしょうか。
賭け事の負債も、依存にまつわる金銭の悩みも、身の丈を超えた買い物の借りも、同じ頂点に入るんですよ。
機会が成り立つために欠かせないのは、二つでした。一つは、自分がその不正を実行できる立場にあるという大まかな認識です。
もう一つは、実際にやり遂げるだけの技量ですね。内部統制、つまり社内で不正やミスを防ぐ仕組みが手薄なことは、犯行を後押しします。
ただし、機会の認識に欠かせないとまでは言われていません。正当化のほうは、犯行の前に用意される自己弁護です。
自分を犯罪者と見なさずに済ませるための言い分なんですね。他人の不誠実さを引き合いに出す形が典型ですよ。
不正のトライアングルは、打ち明けられない金銭上の窮地と、認識された機会と、正当化の三つがそろって初めて成り立ちます。
位置づけとしては、金融犯罪をめぐる一連の論点(論点CFE-S3-D01)の中心にあたります。
この論点はこう問われる
出題の型の一つ目は、定義・目的型です。理論と提唱者を対応づけさせる形が想定されますよね。
横領犯の実証研究と三要素と提唱者の名を、三点セットで結び直します。
- 例1: 「横領犯を対象とした実証研究から三要素を導きました」という記述に人名を対応づける形ですね。研究対象と三要素と名前を並べて確かめます。
- 例2: 「組織体犯罪の研究で知られる犯罪学者です」と書かれたものが並ぶ形も想定されますよ。分野は同じでも研究対象が違うんです。
- 例3: 「近代の哲学者がこの理論を提唱しました」という記述が出たら、分野そのものが違うと切り分けてみてください。
- 例4: 「三要素は動機と機会と正当化です」という記述と提唱者の名を照らし合わせる形もありますね。三点セットのまま覚えましょう。
型の二つ目は、範囲の広狭型ですね。三頂点のうち一つだけを示して全体と見せる形もあり得ます。
一つの頂点だけでは三角形は閉じないので、包括的な理解のほうを残してみてください。
- 例1: 「自分を犯罪者と見なさないための自己弁護だけが頂点です」という記述が並ぶ形ですね。一つでは三角形が閉じません。
- 例2: 「不正を実行できる好機の察知のみが構成要素です」と書かれたものも、範囲を狭めた記述として外しましょう。
- 例3: 「誰にも相談できない金銭上の窮地だけで成り立ちます」という記述が出たら、包括的な理解のほうを残してみてください。
型の三つ目は、条件のすり替え型です。欠かせない要素と後押しの条件を入れ替えて示す形と相性がよい論点です。
統制の弱さは後押し役で、成立の要件は立場の認識と技量の二本柱ですよ。
- 例1: 「内部統制が手薄なことは機会の成立に欠かせません」という記述が出たら、後押し役と要件を入れ替えていると読めますね。
- 例2: 「自分がその不正を実行できる立場にあるという認識です」と書かれたものは、成立の要件として残しましょう。
- 例3: 「実際にやり遂げるだけの技量が要ります」という記述も、二本柱のもう一方なので残せるんです。
- 例4: 「統制が弱いから機会が生まれました」と書かれたものが並ぶ形も想定されますよ。後押しかどうかを確かめてみてください。
試験テクニック
発言や事情が並ぶ設問では、その場で三語に置き換えましょう。お金が要る、ならプレッシャー。
気づかれない、なら機会。みんなやっている、なら正当化です。
三語に置き換えてから見比べると、迷いが減るんですよ。
古典的なモデルですから、万能や普遍的といった強い言葉が付いた記述は、そのまま受け取らないでください。
- 例1: 「今月の返済がどうしても間に合いません」という発言が並んだら、三語に置き換える手順でプレッシャーに置けますね。
- 例2: 「この会社なら抜き取ってもまず気づかれません」と書かれたものは、同じ手順で機会に振り分けましょう。
- 例3: 「経営者だって不正をしているのだから構いません」という発言なら、みんなやっているの形なので正当化なんです。
- 例4: 「このモデルは万能で普遍的なものです」という記述が出たら、強い言葉が付いた記述として保留してみてください。
覚え方
面談の席で、金額としては小さい借金なのに、家族にだけは知られたくないと繰り返す人がいますよね。
その繰り返される一言が、頂点の在りかを教えてくれるんです。教訓を一言で。
動機になるお金の困りごとかどうかは、金額の大きさではなく、周りに打ち明けられるかどうかで見抜きましょう。
この記事の1枚まとめ
| 論点 | よくある誤解 | 正しい判断の軸 | キーワード |
|---|---|---|---|
| 不正のトライアングル(CFE-S3-D01-06) | 三語を言えれば足りる | 窮地と機会と正当化の三つで成立 | クレッシー/打ち明けられない/技量 |
全文が読める見本: マネーロンダリングの三段階、自白獲得面接の手順
残る231論点は、アプリの「テキストで学ぶ」で。
この論点は全文を公開しています。残る論点も同じ構成で、アプリの有料プランでお読みいただけます。
無料10問を試す(登録不要) 5日間無料で試す今日は決めない方へ: LINEで受け取る(無料)
論点ノートの新着と、CFE試験制度の更新をお届けします。いつでも解除できます。
