金融機関不正の予防策
入口を独立した目で塞ぐ
オーディットコア・ハブのアキラです。この記事では、金融機関で起きる不正をどう防ぐか、つまり予防策の側を正面から扱います。
金融機関の現場で見慣れた打ち手ばかりが並ぶのに、予防に見えて予防になっていないものが混ざるんですよね。
予防かどうかは、その打ち手が不正の成立する経路を、実行の前に塞いでいるかどうかで決まります。
この一文が、今回の暗記対象なんです。ひとことで言えば、資金が動く前に不正の経路へ手を付けているかどうかで仕分ける、ということなんですね。
この記事で分かること
- 予防策の芯が、情報を持ってくる人と情報を検証する人を分けることにあること
- 明細の送付や返済予定表の送付は発見の側、貸倒引当金の積み増しは損失が出た後の備えで、予防と境目が引かれること
- 出題の型として、予防と発見の入れ替え型、別のスキームの統制を持ち込む型、権限の設計を問う型の3つがあること
金融機関不正の予防策(CFE-S1-D09-02)
よくある誤解
ここでは、予防の側で、単独で提示されたら誤りになる記述を並べておきます。
- 口座の入出金明細を本人へ定期的に送っていれば、貸出審査の健全さまで守れる、という理解
- 出納の担当者に連続した休暇を取らせれば、借入人の虚偽申告も見抜ける、という期待
- 新規の口座開設で公的な身分証明書を複数確認していれば、融資の担保評価の真実性も担保できる、という飛躍
- 貸倒引当金を厚く積んでおけば、不正の発生そのものを抑えられる、という置き換え
- 融資の実行後に返済予定表を送って延滞を早く掴めば予防に当たる、という分類
並べてみると、どれも金融機関の現場では見慣れた打ち手ですよね。ところが、誤りになる理由はそれぞれ違います。
まず、貸倒引当金の積み増しを見てみましょう。貸倒引当金とは、返ってこないかもしれない貸付に備えて、あらかじめ計上しておく損失の備えのことです。
この積み増しは、不正の経路に手を付ける統制ではありません。
統制とは、ひとことで言えば、不正を防いだり見つけたりするために組織が置く仕組みや決まりですね。
貸倒引当金の積み増しは、損失が出た後の財務的な備えなんです。次に、返済予定表の送付です。
返済予定表を送るのは、起きてしまった後の兆候をつかむ手立てで、予防ではありません。残る3つは、統制としては真っ当な打ち手です。
それでも、狙っている不正が違うんです。ローン不正と顧客口座の窃盗を、同じ統制で語ることはできません。
この取り違えが、ここでの根本にあります。
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