#24 意識して、選ぶ
内部監査入門(事件でわかる、内部監査の考え方)|第24回/章「リスク」|読了 約3分
自分の組織では、どう選ぶか
2011年、DVD郵送レンタルが主力だったNetflixは、ストリーミングへ進むという決断をしました。
これは、リスク対応でいえば「活用」、つまり機会を積極的に取りにいく判断で、方向そのものは正しかったんです。
でも、顧客が離れるリスクを和らげる「軽減」の備えが、足りなかったんですね。戦略は正解、実行はミス。
ここからは、その選び方を、皆さん自身の組織に当てはめて考えていきます。
回避・活用も、選べる
リスク対応を、どの型で選ぶか。これは、内部監査だけの話では、ありません。
皆さんの部門でも、いろいろなリスクに、知らないうちに、何かの対応を選んでいるんです。経理、購買、人事、営業、情報システム。
どの仕事にも、リスクがあって、それぞれに対応が選ばれているんですね。
内部監査は、その選び方を見ていきます。会社が、そのリスクに、どの対応を選んでいるのか。
その選び方が、なりゆきでなく意識的か。そして、妥当か。
そこまで見ていくのが、内部監査なんです。
たとえば、「主要な取引先への依存」というリスクを考えてみましょう。
取引先を少しずつ増やして、特定の1社に頼りきらない状態にする。1社に何かあっても、他でしのげる。
これは、リスクの影響を小さくするので、軽減ですね。
あるいは、契約の中に「供給が止まったら、こう補償する」という条項を、取引先と結んでおく。保険で、損失の一部をカバーしておく。
こうやって、損失を自社だけで抱え込まない。これは、影響を他者に引き受けてもらうので、移転です。
ほかの選択肢もあります。その取引先との関係が重要で、すぐには分散できないなら、依存の事実と影響を把握した上で、今は許容すると決める。
これが、受容です。
もし、その取引先に頼ること自体のリスクが大きすぎるなら、その取引先とは取引しない、という回避もありえます。
逆に、その取引先と組んで、新しい事業機会を取りにいくなら、活用です。同じ取引先依存というリスクに、5つの選択肢すべてが当てはまるんですね。
違いは、たった一つ
ところが、ここで気をつけてほしいことがあります。
誰も、その依存を整理していない。影響も、見ていない。
ただ、その状態が、なんとなく続いているだけ。これは、受容でしょうか。
消火器を、思い浮かべてみてください。定期的に点検され、すぐ使えると分かっている消火器と、何年も埃をかぶって置きっぱなしの消火器。
同じ消火器に見えても、まったく違いますよね。
リスク対応も、同じなんです。把握した上で「今は許容する」と決める。
これは、定期的に点検され、いざというときに使えると分かっている消火器です。
違いは、たった一つ。誰かが、リスクを見て、影響を考えて、「今は許容する」と、決めたかどうか。
決めていれば、受容。誰も見ていない、誰も決めていない。
これは、埃をかぶって置きっぱなしの消火器。受容ではありません。
放置なんです。
選んだと、自覚していること
ここで、リスク管理の本質を、お伝えします。
リスク管理とは、リスクをゼロにすることでは、ないんです。リスクは、ゼロにはできません。
大事なのは、5つの選択肢の中から、なりゆきでなく、意識して、賢く選ぶこと。これが、リスク管理なんですね。
そして、もう一つ。選んだなら、選んだと、自覚していること。
なんとなく続いている状態は、選んだことには、なりません。意識して選ぶ。
これが、この回で一番、覚えておいてほしいことです。
次の回へ
引き受けたつもりがないまま、引き受けている。心当たり、ありませんか。
ただ、選択肢が分かっても、人も時間も限られています。どこから手をつけるのか。
次の回で、その考え方をつかみます。順番の付け方が分かれば、限られた時間の使い先を、上司に説明できます。
この回の持ち帰り
リスク管理は賢く選ぶこと。放置は受容ではない
内部監査の「考え方」を、演習で確かめる。
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