#6 会社の免疫システムとしての内部監査
内部監査入門(事件でわかる、内部監査の考え方)|第6回/章「内部監査とは何か」|読了 約4分
探偵じゃなく、何をする仕事?
内部監査というと、粗探しのイメージがあるかもしれません。でも、内部監査は、粗探しの探偵じゃありません。
組織を前に進める仕事なんですね。
でも、皆さん。「具体的に、何をする仕事なのか」は、まだピンと来ていないかもしれません。
この回では、その「中身」を、ある比喩でつかんでいきます。
会社のお医者さん
内部監査を「会社のお医者さん」と表現することがあるんですね。
組織を健康にする。そういう意味では、間違いじゃないんです。
でも、皆さん。お医者さんにも、いろんなタイプがありますよね。
タイプはいろいろ
風邪のときだけ行く、お医者さん。毎日、健康を見守る家庭医。
全身を定期的にチェックする、人間ドック。
監査にも、似た違いがあるんですね。
ここで皆さんに、ぜひ覚えておいてほしい対比があるんです。
外部監査=定期健診
まず、外部監査です。
これは、財務諸表が正しいかどうかを、組織から独立した立場で確認する仕事なんですね。
いわば、年に1回の定期健康診断です。皆さんも会社で健康診断、受けますよね。
あの、年1回の外部チェック、なんです。
すごく大事です。でも、決算期中心の、定期的なものなんですね。
アメリカのSOX法や日本のJ-SOXという、決算の信頼性を高めるための制度は、この外部チェックを下支えする、社会の仕組みなんです。
内部監査=免疫システム
一方、内部監査は、組織の免疫システム、なんですね。
皆さん、想像してみてください。私たちの体の中では、24時間365日、免疫細胞が、休まず働いていますよね。
ウイルスや異物の、小さな兆候を捉えて、対処していく。
内部監査も、まったく同じなんです。組織の内側で、継続的に、リスクの高い領域を見ていく。
この『免疫システム』というたとえが、この動画の話の軸になります。
継続性/年間を通じて
ここから、その免疫システムの中身を、3つに分けて見ていきます。
1つ目は、継続性。
外部監査の定期健診は、年に1回ですよね。でも、免疫細胞は、24時間365日、動き続けます。
内部監査も、同じなんです。年間を通じて、業務の中で、継続的に働いている。
「年に1回、来てチェックして帰る」、そういう仕事じゃないんですね。組織の中に居続けて、年間を通じて見ている。
これが、1つ目の柱です。
独立性と客観性
2つ目は、独立性と客観性、なんです。
これ、英語で言うと、Independence(インディペンデンス)と、Objectivity(オブジェクティビティ)。
内部監査の世界では、別々の概念として整理されています。
なぜ、これが大事なのか。エンロンの外部監査を担っていた、監査法人アンダーセンの話です。
エンロンから、週に100万ドルもの報酬を受け取って、独立して厳しく見るはずが、お得意さまには甘くなっていたんですね。
だから、内部監査は、業務執行から距離を置く。組織の内側にいながらも、独立した目で、客観的に評価する。
これが、2つ目の柱なんですね。
高リスクから優先
3つ目は、リスクの高いところから見る。英語で言うと、risk-based(リスクベース)です。
免疫細胞って、ウイルスが体中に広がってから動き出す、じゃ遅いですよね。小さな異変のうちに、捕まえる。
内部監査も、まったく同じなんです。
リスクの高い領域から見ていく。小さな兆候のうちに、早めに捉える。
問題が大きくなる前に、対処を促す。
これは、仕組みで守る、セーフティネットの考え方と、地続きなんですね。仕組みの欠陥を、早めに見つけて、組織を守る。
それが、3つ目の柱です。
内側から、根差す
ここで、皆さん。外部監査と、ここがハッキリ違うんですね。
外部監査は、組織の外から、年に1回の決算を中心に、チェックして帰る。でも、内部監査は、外から来るんじゃない。
組織の内側に、根差しているんです。
年に1回じゃなくて、年間を通じて、継続的に。それも、独立した視点で、組織を見ている。
ここが、決定的な違いなんですね。
重要なところから
ただ、皆さん。ひとつ、誤解してほしくないことがあります。
内部監査は、組織の全部を、常に見張る万能装置。そんなものでは、ないんですね。
人体の免疫だって、全部のウイルスを止められるわけじゃありませんよね。内部監査も、同じなんです。
重要なリスクに、優先順位をつける。そこから計画的に、評価していく。
これを、リスクベース、と呼びます。
すべてを見るんじゃない。大事なところから、見ていく仕事、なんですね。
組織の、免疫システム
この回で覚えてほしいのは、ひとつです。
内部監査は、組織の免疫システム、なんですね。内側から、継続的に、独立した視点で、早めに兆候を捉える。
そういう仕事です。
外部監査が、年1回の定期健診。内部監査は、ずっと働き続ける免疫システム。
この対比、ぜひ持ち帰ってください。
次の回へ
職場の小さな違和感に最初に気づけるのは、外から来る誰かではなく、中にいる皆さんです。
ただ、内部監査には、見守るのとは逆を向いた、もうひとつの柱があるんですね。次の回では、その二本目が何なのかを、はっきりさせます。
二本そろえば、職場で何を任せられるかも、見えてきます。
この回の持ち帰り
内部監査は組織の免疫システム。内側から、継続的に、独立した視点で見守る
内部監査の「考え方」を、演習で確かめる。
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