#28 統制環境という土台
内部監査入門(事件でわかる、内部監査の考え方)|第28回/章「内部統制」|読了 約3分
何が、ルールを支えるか
アメリカの大手銀行、ウェルズ・ファーゴ。ルールも、コンプライアンス部門も、あったんです。
でも、経営者がノルマで圧力をかけ、統制は、形だけになっていました。ルールを作るだけでは、不正は防げません。
内部統制とは、ルールが「機能する仕組み」を作ることなんですね。
では、ルールを「機能させる」には、何が必要なのか。今回は、その「仕組みの中身」を、見ていきます。
何が、ルールを支え、何が、ルールを崩してしまうのか。そこを、つかんでいきましょう。
土台の上の4要素
ここで、一つの枠組みを、紹介しますね。COSOの、内部統制フレームワークです。
COSOというのは、アメリカの5つの専門家団体が集まって作った委員会で、内部統制の、世界的な枠組みを公表しているんです。
これから内部統制を考えるとき、何度も出てくる、共通の物差しなんですね。
COSOは、内部統制を、5つの要素で捉えるんです。統制環境。
リスク評価。統制活動。
情報と伝達。モニタリング活動。
一見、難しく聞こえますよね。でも、建物に例えると、すっきり分かるんです。
一番下、土台にあるのが、統制環境なんです。統制環境とは、組織の「体質」のこと。
経営者の姿勢、企業文化、倫理観。皆さん、この回で、特に覚えてほしいのが、ここなんですね。
土台の上に、リスク評価。何が、うまくいかなくなるかを、見極めるんです。
その上に、統制活動。具体的なルールや、手続きですね。
さらに、情報と伝達。正しい情報が、正しい人に、届いているか。
一番上に、モニタリング活動。統制が、機能し続けているかを、見張るんです。
土台が腐っていた
皆さん、考えてみてください。5つのうち、どれか1つでも欠けたら、内部統制は機能しないんです。
土台が傾いたら、どうなりますか。その上に積んだ階は、全部、傾いてしまうんですね。
ウェルズ・ファーゴで起きていたのは、まさに、これなんです。統制活動、つまりルールや手続きは、あったんですよ。
でも、一番下の土台、統制環境が、腐っていた。ノルマ至上主義が、組織の体質そのものを、蝕んでいたんですね。
土台が腐れば、その上のルールが、どれだけ立派でも、崩れてしまうんです。
機能する仕組み
ここで、一つ、問いかけてみたいんです。皆さんの会社にも、ルールは、あるはずです。
でも、その土台にある「組織の体質」は、健全と言えますか。経営者が、自分でルールを、軽く見ていませんか。
即答できなくても、大丈夫なんです。その問いを持つことが、出発点なんですね。
ここで、もう一つ、大切な概念があります。内部統制は、「絶対的な保証」は、提供しないんです。
提供できるのは、「合理的な保証」なんですね。
どういうことか。従業員どうしが、共謀したら。
経営者自身が、統制を無視したら。どんなルールも、破られてしまうんです。
だからこそ、独立した内部監査が、必要なんですよ。統制が「ある」だけでなく、「機能している」かを、経営者から独立した立場で、検証する。
そして、その結果を、取締役会に届ける。それが、内部監査の役割なんです。
ここで、日本の制度にも、触れておきますね。日本では、2008年度から、J-SOXという制度が、適用されています。
金融商品取引法に基づく、内部統制報告制度なんですね。
上場企業は、経営者が財務報告に係る内部統制の有効性を評価して報告し、それを、外部の監査人が監査する。法律で、そう求められているんです。
この回で、覚えてほしいことを、整理しますね。
ハッキリ言います。内部統制とは、ルールを作ることでは、ないんです。
ルールが機能する仕組みを、作ること。
そして、その仕組みの土台は、統制環境。組織の体質なんですね。
土台が腐れば、どんなルールも、形だけになってしまうんです。
次の回へ
上の人が数字だけを見ている職場で、正直な報告は上がってくるでしょうか。では、体質が整った組織なら、それだけで事故は防げるのか。
次の回では、ある事件を通して、その先を考えます。土台が体質だと分かれば、新しい規程を作る前に、上司の口ぐせを気にかけられます。
この回の持ち帰り
統制環境=組織の体質が土台。土台が腐ればどんなルールも形だけになる
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