#27 ルールがあっても、防げない

内部監査入門(事件でわかる、内部監査の考え方)|第27回/章「内部統制」|読了 約3分

ルールでは防げない

リスクとは、悪いことではなく、不確実性。良い方向にも、悪い方向にも、転ぶものなんです。

そのリスクに、どう対応するか。その「仕組み」を、ここから学んでいきます。

内部統制、なんですね。

皆さんの会社にも、ルールが、ありますよね。経費の承認フロー。

個人情報の取り扱い規程。たくさんのルールが、整備されているはずなんです。

皆さん、ここで、質問です。ルールがあれば、不正は防げるんでしょうか。

答えは、「No」、なんですね。ルールは、あっても、機能しなければ意味がないんです。

それを証明してしまった事件が、あるんですよ。アメリカ最大級の銀行で起きた、前代未聞のスキャンダル、なんです。

不適切の疑い 約350万件規模

舞台は、2016年のアメリカ。ウェルズ・ファーゴ銀行です。

全米でも有数の、巨大な商業銀行なんですね。

ところが、この銀行で、信じがたいことが発覚したんです。従業員が、顧客の同意なく、勝手に口座を開設していた。

その規模が、すさまじいんです。後の再点検で、その数は、さらに大きく見直されました。

2009年から2016年にかけて、潜在的に不適切だった口座は、約350万件規模に上ったんです。顧客が、知らないところで。

顧客の、名前で。

5,300人解雇/14年間

なぜ、こんなことが起きたのか。原因は、ノルマだったんです。

「Eight is Great」。顧客1人あたり、8つの金融商品を売れ。

それが、社内に浸透したスローガンなんですね。

しかも、ですよ。従業員は、販売実績を、時間単位で追跡されていたんです。

達成できなければ、懲戒。最悪、解雇。

ストレスで、パニック発作を起こす人まで、出ていたんですね。

追い詰められた従業員は、顧客の同意のない口座を、作り始めてしまった。

皆さん、聞いてください。14年間で、およそ5,300人の従業員が、解雇されているんです。

でも銀行は、これを個人の問題として、静かに処理していたんですね。

CEOのジョン・スタンフは、上院で厳しく追及され、辞任。この問題を巡る主要な法的解決だけでも、数十億ドル規模に達したんですよ。

機能する仕組み

ここで、大事なポイントが、あるんです。

ウェルズ・ファーゴには、ルールが、ありました。コンプライアンス部門も、あったんですね。

でも、その統制は、十分には機能していなかった。なぜか。

経営者自身が、ノルマで現場に圧力をかけていたからなんです。

ルールというのは、壁に飾られた額縁のようなものなんですね。中に、どんなに立派な言葉が並んでいても、誰も従わなければ、ただの紙なんです。

額縁を、増やすことではない。中の言葉が、生きているか。

そこが、問われているんですね。

ここで、内部統制という言葉を、整理していきましょう。内部統制には、3つの目的があるんです。

1つ目。業務の有効性と効率性。

仕事が、ちゃんと回っているか。

2つ目。財務報告の信頼性。

数字が、正しいか。

3つ目。法令の遵守、コンプライアンスです。

ルールを、守っているか。

ウェルズ・ファーゴは、この3つが、すべて崩れていたんです。偽の口座は、業務の暴走。

報告される販売実績は、水増し。そして、法律にも、違反していた。

ルールを作るだけでは、不正は防げないんですね。大切なのは、ルールが「機能する仕組み」を作ること。

これが、内部統制の本質、なんです。

皆さんの会社のルールは、紙の上だけに、なっていませんか。

次の回へ

守られているかを、誰も確かめていない決まり。皆さんの周りにも、ありませんか。

では、同じ決まりでも、効く会社と効かない会社があるのはなぜか。次の回で、その差を見ていきます。

決まりは作って終わりでないと知っていれば、規程を読むときに、運用まで確かめられます。

この回の持ち帰り

内部統制とは「ルールを作ること」ではなく「ルールが機能する仕組みを作ること」

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